「まったく」

 戻ってきた青司が不機嫌な顔でつぶやいた。

「なんだ、また間違われたのか?」

 呆れて陣は肩をすくめる。

 中性的な整った顔立ちの青司は、よく女性と間違われる事があった。

 欧米人には日本人の顔の区別も難しいと思われるが、そのせいで余計に間違われているのかもしれない。

 顔立ちが中性的だというだけで、その言動はしっかりと男である。

 にも関わらず、やはり顔で判断されるのは世の常だ。