「!」
陣たちの視界に人差し指を唇の前で立てて何かを示すベリルが映る。
ベリルは縁側に出て無言でふすまを閉じた。ふすまの向こうで何が起きるのだろうか。
「よくもやってくれる」
男が庭でベリルを睨み付けた。
栗色の短髪には洗濯ばさみが2つほど挟まっていて、ワイヤーハンガーを握りつぶしている。
くぼんだ茶色い目はベリルへの怒りで満ちあふれていた。
「あそこを通ったのか。セキュリティは解除してあったのに」
「! 本当か」
「嘘だ」
「ふざけるな!」
潰れたワイヤーハンガーを地面に叩きつける。
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