「例の装備はしないんですか?」

 青司の声にハッとする。

 少年が言っているのはアメリカでの武装の事だろう、ようやく見つけた皮肉なようだ。

「捕まるのは勘弁したい」

「そうではなかろう」

 笑って応えたベリルに絵理は静かに割り込んだ。

「武器を持たぬのは、我々の誰かが傷を負う事を避けるため。そうであろう?」

 青司と陣はその言葉に絵理とベリルを交互に見やった。

 ベリルはよくも解ったというように一度、瞼を閉じて口元に笑みを浮かべる。