庭に出たベリルは周囲を見回ししばらく気配を探ると、しゃがみ込み軒下を覗いて小さく口の端を吊り上げた。

 そこには白い糸が1本、踏まれたような跡があった──

「夜間か」

 つぶやいて立ち上がり、目を眇(すが)めて空を見上げた。