「はぁ……」

 陣は小さく溜息を吐いた。

 俺が出来る事って、絵理の盾になるくらいだ。そう思うと多少は落ち込む。

「陣」

「え、はい」

 呼ばれて思わず返事をすると、ベリルは無言で陣の背中を軽く3度叩いて部屋を後にした。

「え?」

 なんだったんだろうと思いつつ、何故か心が少し軽くなった気がした。

「本当に来るのかな」

 相手は熟練した泥棒だから、この広さの屋敷なら人がいる昼間でも入ってくると言われても、本当なのかと疑ってしまう。