「あいつ、何をしているんだ」
「あー、なんかトラップを設置してるんだと」
朝から不機嫌よろしく青司が低くつぶやき、陣がそれに苦笑いで応えた。
「罠など問題は無いのか」
絵理はやや眉をひそめる。
「ん~、相手はプロだから人が通るようなとこは通らないから大丈夫だってさ」
なんでオレが説明してんだ、こういうのは罠を仕掛けている本人が説明しろよなぁ。設置中だから無理だけど……。
昨夜、ベリルは不死の説明をしたあと寝る前に今日の予定を陣に話した。
「相手がプロなら、トラップを設置されてる事にも気付いてんじゃないのか?」
それは昨日、陣もベリルに尋ねている。
「相手がそれに気付けば解除するのに時間が必要となるし、設置してないよりは相手の意識も多少は身構えるようになるから、あえて設置するんだって」
「む、そういうものなのか」
絵理は感心するように小さく唸った。