その視線の先に目を移して青司は、

「ああ……」と、小さく声を上げた。

 そこにあったのは、ホットドッグを売っているワゴン。

 黒人が無愛想に、無骨な手でそれを手際よく作っていた。

 お腹が空いている訳ではないだろう。

 ただ興味があるというだけなのは、青司も陣も解っていた。

「買ってくるよ」

 青司が発し、2人はその背中を見送った。

 絵理にも、ある程度の英語力はあるものの、古めかしい日本語と同様に英語も古めかしいものがあるため、こういう場では遠慮してもらっている。

 出来るだけ目立つ事は避けたいというのが主な理由だ。