そこで陣は、常にベリルに対して抱いている疑念を頭に浮上させた。

 顔がどうとかいう以前に、全体的に綺麗すぎるのだ──服装は質素ながらも上品な物腰に隠されがちだが、戦いを繰り広げてきた人物としては、傷の一つもなく綺麗すぎる。

 それで考えられる事と言えば、逃げまくっていた臆病者か傷などつかない程の凄腕なのかになる。

 しかし今までの言動からすると、どちらでもない気が陣にはしていた。

 むしろ、絵理のように無鉄砲な部分があるんじゃないだろうか……。