「まぁ、一夜限りの花だしね。見ないと勿体ないよ」
「綺麗ですしね。夏の一夜限りの光だからこそ、人はこうも花火に惹かれるのでしょうか」
「毎夜見れたら嫌だよ。日常化した花火なんて、環境に悪影響しか与えないもん」
「変わった否定の仕方ですね……」
「それに、限定されるからこそ魅力が増すんだよ。人は限定物に弱いしね」
「そうですね。僕も千鶴ちゃんという限定物に弱いです」
「そこで話題が人にくるか」
「人生は一度きりなんですから、花火のように輝きたいですね」
「えー、夜にしか咲けない花より一日中咲ける花になりたい」
「花火にとっては一夜が人生なんですよ」
「いーや、作る工程を含めたら一夜だけの人生じゃないね」
「そこはほら、胎児と同じ見方でいいんじゃないですか?打ち上げられたその瞬間に生まれた感じで」
「違うよエドガー。それじゃあまるで、胎児は生きてないみたいな言い方だよ。胎児の間だって、私達にとってはちゃんと人生なんだから」
「成る程、負けました」



