不意に、先生が私の手をギュッと掴まえた。ちらっと横目で先生を見れば、口元は三日月形。
まぁ、これも毎年のお約束。
鳥居を越えて境内に足を踏み入れる。境内は人でごった返していた。
様々な的屋に人。美味しそうな匂いに人。楽しそうな音楽に人。
「エバート、射的やろう射的っ。あのネコのキーホルダー可愛いよ!」
「わかりました。ちぃはあのネコさんが欲しいんですね?」
「何てったって私はネコ派!」
私はおじさんにお金を払って銃を構えた。狙いを定めて引き金を引く。
カスッ。
弾はそんな間抜けな音をたてた。かすっただけかぁ、残念。残り二発。
「はい、頑張ってエバート」
「了解」
先生は構え、引き金を引く。弾はネコに当たり、ネコは呆気なく落ちた。
やった、ネコゲットっ。
「後は何がいいですか?」
「えー、じゃあ、チョコ系のお菓子」
そう言うと先生は、私の希望通りのお菓子を落としてくれた。何でそんなにポンポン落とせるの。
「有り難う」
「いえいえ」



