ギギギと首を横に向けてみれば、いた。確かにいた。これはまごうことなき先生だ。
ニコニコと、それはそれは嬉しそうに私を見ていらっしゃる。
「やっとまともな時間が取れましたね、千鶴ちゃん」
先生は変わらずニコニコとそう言うと、私の指に自身の指を絡ませた。
「え、何で起きて、え、……」
「千鶴ちゃんが出ていく音で目が覚めました。千鶴ちゃんと一緒にいたくて来ましたが、千鶴ちゃんは嫌でしたか?」
「べっつに……?」
つんと顔を背けて素っ気なく返す。あぁもう、私ってとことん可愛くないっ。
「……あの、今日はすみませんでした」
「……美鶴のこと?」
「はい」
「別に。気にしてないから。私の方こそ、可愛くなくてごめんね」
「千鶴ちゃんは可愛いですよ」
「お世辞でしょ」
「いいえ、真剣に」
「どうせ美鶴の方が可愛いとか、本当は心の中で思ってるんでしょっ」
私は先生の手を振りほどいて、距離を取った。何で素直になれないかなぁ、私は!!



