準備室に入ると、爽やかなレモンの微かな香りが鼻を掠める。本当に消臭剤買ったんだなぁ……。
「座って」
私は先生の椅子に座らされた。普段は先生しか座ることのない椅子だから、何だか珍しくて色々いじってみる。
「教室で何かあったんですか?」
「……先生、噂、知ってますよね」
「噂って、千鶴ちゃんの?それなら知ってますけど……」
「……槙くん、が」
思い出してみると、今更ながら恐怖が襲ってきて、言葉が詰まった。微妙に身体も震えている。
「!」
不意に、先生がそっと抱きしめてきた。先生の緩やかな鼓動が伝わってきて、段々と落ち着いてくる。
「無理しないで、落ち着いて」
「うん……。あの、このままで聞いてくれますか」
「いいですよ」



