黒板に白いチョークで書かれた、数人の名前。その名前達の周りは赤いチョークの線でぐるぐる囲まれている。



「決定!」



盛り上がるクラスメイト達に対し、私の心は酷く荒み、気分は重く沈んでいた。



嘘だ。誰か嘘だと言ってくれ。実はドッキリでしたー、とかって言ってくれよ。



違うなら悪夢か?悪夢なら一刻も早く目覚めてくれ。頼むから。



「文化祭の出し物と配役、面白いことになったな」



クラスメイトの誰かが愉快そうに呟いた。他人事のように呟いてんじゃねぇぇぇぇ!!



実際他人事なんだろうけど!



「いやー、まさか、シンデレラ役が天瀬になるとはな!あははははっ」



「今笑った奴ぶっ殺す」



「ぎゃあああぁぁぁぁぁ!!」



そう、文化祭での出し物が劇『シンデレラ』になった上、主役が私に決定してしまったのだ。



教室の隅で密かに肩を震わせている先生を、後でぶん殴ろう。