せっせと働き、終業時間になった。外はまだまだ明るい。



「二人共気を付けて帰るんですよ」



「はい、先生」



「さよ〜なら」



部屋を出て少し歩くと、突然神崎さんが立ち止まって、私の制服を摘まんだ。



「神崎さん?」



「あの……、天瀬さんって、先生のこと、その、好きなの?」



神崎さんは不安そうに私を見る。わぁー、何てしおらしい女の子なんだろー。



そだねー、気になるよね、うん。



私はどう答えたらいいだろう。素直に好きだと言うか、違うと言うか。



「……神崎さんは、先生の何が好きなの?」



逆に聞いてみた。



「えっ?えっとね、最初はカッコいい人だなーって、そう思ってただけなんだ。

でも先生と一緒にいる内に、すごく優しくい人なんだって。日だまりみたいな人だなって思い始めて。

その時からかな。先生のことを目で追いかけるのが多くなったの。

笑った時の可愛い顔、困った時によく頬を掻くクセ、しっかりしてるけど少し抜けてる所、どこか子供っぽい仕草……。

色んな先生を見てる内に、私いつの間にか先生のこと、どうしようもないくらい好きになってたんだ」



神崎さんは照れたように、少し顔を赤くして笑った。