「……そういえば、先生って天瀬さんのこと名前で呼びますよね」



あ、些細なことに気付きやがった。



「私のことも星夏って呼んで下さいっ」



「……え、あ、いや、えっと……」



たじろぐ先生。あーぁ、先生がしょうもないミスするから。自業自得だよね。



「じ、じゃあ、今度のテストで三教科満点取れたら呼びます」



「本当ですか!やったぁ、私頑張りますね」



神崎さんにそんなこと言ったら、絶対この人本気出して満点取るだろ。確かこの人、結構成績が上位だった気がするし。



「さようならー」



「……」



先生は最後の最後まで、しょぼーんとした表情で私を見る。哀愁の漂う先生は、思わず構いたくなる、が。



私は帰る。誰が何と言おうと帰る。



「……」



「……先生、何か手伝いましょうか」



「はい!」



負けてしまった……。