神崎さんはその後何回か遅刻を繰り返した。さすがの先生も見過ごせず、彼女のお望み通りの罰を与えた。
……あ。
私の消しゴム、もしかして準備室?あそこはまだ探してなかったなぁ。
捜索がてら、様子見に行くか。
早速準備室へ赴き、室内へ入る。およ、あんまし香水の匂いがしないぞ。
あ、棚の上に消臭剤発見。
「どうしたんですか?」
そう尋ねる先生の顔は、明らかホッとしていた。頼むからここにいてくれというオーラが出ている。
んなことしたら怪しまれるだろ。
「ここに私の消しゴムありませんか」
「あ、もしかしてこの消しゴム?さっき床で見つけたんだけど、天瀬さんのだったんだね。ハイ、どうぞ」
神崎さんから消しゴムを渡された。おぉ、紛れもない私の消しゴムや。
「ありがとう。じゃ、失礼しましたー」
「えっ……」
先生は一気に哀しそうな表情に変わった。何故だか先生の頭にしゅんと垂れた犬耳が見える。
「……ち、千鶴ちゃん。手伝っていく気は「さらっさらないんで」あ、そうですか……」
先生はしょぼーんとした。



