「私にはうっかり冷たいし優しいけどねー」
「千鶴ちゃんだからですよ。神崎さんは本当にただの生徒なので、気を付けないと……」
先生は再びため息を溢す。相当疲れてるみたいだなぁ。たった一日でこれとは。
先生はふらりと立ち上がって、私の元へヨロヨロと歩み寄ってきた。
何かゾンビ思い出す。
「千鶴ちゃーんっ……」
「うぎゅっ!!」
先生はガクッと私に倒れ込んできた。先生を受け止めきれず、私の上でまるで布団のように覆い被さっている。
今誰か入ってきたら終わりだな。
先生はギューッと私を抱きしめた。あぁ、いつもと違う匂いがするなぁー。
「やっぱり千鶴ちゃんの香りが一番好きです」
「この香水、神崎さんには合ってるけど、私個人としては好きじゃないなぁ」
「千鶴ちゃんは香水全般好きじゃないんでしょう?」
「そーですよ」
何かねぇー……。
「この部屋、消臭剤でも置いたらどうですか。私的には柑橘系の香りを発するものがいいです」
「検討してみましょう」



