誰のことを言っているのかなど、名前を聞かずともわかった。


此処までの道中、己の正義のために袂を別れた仲間たち。

思い半ばで病に倒れた昔馴染み。

誇りの中に散っていった多くの隊士。


そしてその頂点に立っていた男。


その他にも数えきれないほど沢山のものをなくしてきた。


鉄之助が新選組にいた期間は短い。

それでも土方が彼らをどれだけ信頼していたかは知っている。


誰よりも新選組を大切に、鬼と呼ばれようとも守り抜こうとしてきた男。

それが土方歳三なのだから。


そんな姿に憧れたのだから。