それから数日後。

思いもよらないことが起きた。



ただの『偶然』かもしれない。

でも、あれは─

きっと誰かが、もう1度だけチャンスをくれたんだよね?

あれがなければ、菜摘はいつまでも引きずっていたかもしれない。



あれはきっと

『最後の奇跡』でした。





学校帰りに理緒と寄り道をして、夜8時頃コンビニに寄る。

理緒のお母さんの迎えを待っている時だった。

「ねぇなっつ。理緒、あの人どっかで見たことあるんだけど」

「え?なに?」

理緒は雑誌コーナーからガラス越しに外を指差した。

その方向を、目で辿っていく。



─見間違えるわけがない。

もう2度と会うことはないはずの、愛しいあの人。



奇跡だと思った。

この奇跡を無駄にしてしまえば、本当にもう2度と会えない。



「早く行きなよ!理緒ここで待ってるから!」

菜摘の背中を押し、微笑む理緒。

「ごめん…行ってくる!」

菜摘は最後まで、みんなに頼りっぱなしだ。



そして、その人の元へと駆け出した。