そして─

1度だけ。

もう1度だけ、あなたを試させてください。

これが最後だから。



「大ちゃん『待ってて』って言ったじゃん。菜摘ずっと待ってた。でもいくら待ったって、大ちゃんはきてくれないじゃん。



だから─」










「大ちゃんなんて、いらない」










最低な台詞を吐いた私を、どうか許してください。

『いらない』なんて、誰も言っちゃいけないのに。



それなのに─

あなたは、笑った。



「俺には菜摘が必要だよ」



ああ─

この人は本当に、菜摘のことをよくわかってる。

試されたことをわかっていても、1番ほしい言葉をくれた。

試した私を、許してくれた。



「…ありがとう」



ありがとう。

私を必要としてくれて。

それだけで、この苦しさも耐えられる。

苦しみさえ、幸せに変わる。

あなたのためなら

私はきっと、死ぬことさえも惜しくない。