翌日、増す一方の不安をおさえきれなくなった菜摘は、勇気を振り絞ってメールを送った。

《送信:大ちゃん
大ちゃん、次いつ会える?》

すぐ返ってきたメールに、いつもなら安心するけど

今回ばかりは不安しかない。

《受信:大ちゃん
まだわかんないや。最近、仕事忙しいし》

『忙しい』

直感で避けられてると思った。

もしかして、菜摘はもう用無しなの?

…そんなこと、大ちゃんに対して思いたくないのに。

《送信:大ちゃん
大ちゃん、彼女と別れないの?》



初めての詮索。

少し緊張しながら送った。

なんとなく答えがわかっているから。



《受信:大ちゃん
別れたいけど、色々あってなかなか別れられないんだ》



─やっと現実に引き戻された気がした。

大ちゃんは彼女と別れない。

こんな簡単なことに気付かなかった。

幸せに浸りすぎていたんだ。



好きじゃないなら

あれは嘘だったなら、キッパリそう言ってほしい。

そしたら諦めがつくかもしれないのに。