数日後、大ちゃんを誘った。

《植木たちと飲み会なんだ。ごめんね》

断られたのは悲しいけど、植木くんの名前に安心する。



大ちゃんはまだ彼女と別れていない。

でも相変わらず頻繁にくるメールに、寂しさは感じなかった。

大丈夫。
大丈夫。

焦ることはない。

だって─

『待ってる』って、約束したから。



その日理緒の家へ泊まりに行くと、ずっと携帯をいじっている理緒のことが気になり、なんとなく聞いた。

「理緒、誰とメールしてんの?彼氏?」

「ううん、植木くん」

─え?

植木くんって飲み会じゃないの?

大ちゃん、飲み会って嘘なの?

たったそれだけのことで疑ってしまうのも、こんなに胸がざわつくのも

これからの結末を、少なからず予想していたからかもしれない。

「植木くんって…」

「飲み会してるんだってさ。いいよねぇ」

─よかった。

嘘じゃないんだ。



安心したのも束の間。

次に聞いた台詞に、動揺を隠せなかった。



「なんかね、みんな彼女連れてきてるんだって。だから理緒も彼氏とこないかってさ」



─…彼女を連れてきてる?

みんなって大ちゃんも?



「なっつ、どしたの?」

「…ううん、なんでもない」

首をかしげる理緒に慌てて答える。



─別れるつもりなら、わざわざ連れて行かないでしょう?

友達との飲み会に彼女を連れていくってことは、そういうことだと思う。

もう夢から覚めちゃった。

短い夢だったな─