ずっとずっと─

こうなることを夢見てた。

他の人に逃げた時もあった。

何度も諦めようとした。

でもそんなの無理だったんだ。

こんなに

こんなに

大好きなんだから。



「俺、彼女とは別れるから。待っててくれる?」



声にならない声で、何度も何度も必死に頷いた。

いつからこんなに泣き虫になったんだろう。

─大ちゃんを好きになってからだ。



「誕生日おめでと。愛してるよ」



たった一言。

菜摘の涙を誘うには充分すぎる言葉。

誕生日、覚えててくれたんだ。

最高の誕生日プレゼントだよ─

「泣くなってば」

大ちゃんの手が、菜摘の頬を優しく包み─

もう1度

唇を重ねた。





『彼女と別れたら付き合う』

言い訳するつもりなんてない。

最低な約束だってわかってる。



でも─

幸せだった。

これ以上の幸せなんて、どこを探しても絶対にない。



この時、自分は世界で1番幸せだと

本気でそう思った。



周りなんか見えない。

大ちゃんしか見えなかった。