屋上へ繋がる階段に座る。

亮介とよくきていた場所に大ちゃんとくるのは少し気が引けたけど、たぶん大ちゃんは『気にすんなよ』って言うと思うから、わざわざ言わないことにした。

「彼女と会う約束とかしてないの?」

念のため確認。

どれくらい話せるんだろう。

「してないよ。夜に植木たちと卒業パーティー」

『植木たち』という言葉に安心する。

そういえばさっきそんな話してたもんね。

「そっか」

よかった。

ゆっくり話せるんだ。



傍にいてくれた人。

支えてくれた人。

救ってくれた人。

そして大好きな人。

離れるのは、やっぱり寂しいから。



「なんかすげー変な感じじゃない?今まで普通に会ってたのに」

でもそれが『卒業』なんだ。

「大ちゃんやっぱり寂しいんだ」

からかうように言うと、大ちゃんは苦く微笑んだ。

「んー…そりゃあね」

内ポケットから取り出した煙草をくわえる。

「学校で煙草吸っちゃいけないでしょ」

「火つけないから大丈夫。…なんか、寂しいとか…思ったの初めてかも」

セブンスターをくわえながら、大ちゃんはやっぱり微笑む。

でも今日は、その笑顔が寂しい。



大ちゃん、菜摘もだよ。

会えなくなるなんて実感湧かない。

寂しいよ…。