“またね。”

「寒いし戻ろっか。お前、停学だよ?」

「うん。菜摘のこと連れ出して授業サボったから、大ちゃんも怒られるよ」

また少し笑い合い、そっと手を繋ぐ。

さっきより軽くなった足と心を、学校へと運んだ。



ねぇ、大ちゃん。

菜摘、うまく笑えてたかな。

隣で微笑んでくれて

ありがとう。



学校へ戻ると予想通りすぐに校長室へ呼び出され、無期停学という名の2週間の停学。

喧嘩は罪が重いらしい。

菜摘は落ち着いた気持ちで、素直に停学を受け入れることができた。

大ちゃんのおかげだよ─



保健室で手当てをしてから教室へ荷物を取りに行くと、みんなの冷たい視線。

そりゃあ“教師”を殴ったんだもんね。

教師を殴るなんてありえないこと。

わかってはいるけど、影でコソコソ言われるのは嫌い。

またサイトに書かれるのかな─

そう思うとすごく憂鬱な気分になる。

みんなの冷たい視線を背中に浴びつつも、堂々と席へ向かった。