“またね。”

「お前ずっとなんかおかしかったよ。彼氏できた頃からずっと。何があった？」



─なんて言えばいい？

亮介のこと好きじゃないのに好きなフリして、ずっと騙しながら付き合ってたの。

本当はずっと大ちゃんが好きだったの。

でも大ちゃんは、振り向いてくれないじゃない。

だから寂しかった。

寂しさを埋めるために、亮介を利用してたの。

だって幸せになりたかった。

でも自分の汚さを認めたくない。

『しょうがないよ』って

『菜摘は悪くないよ』って

まだそんなことを言ってほしいと思ってしまう自分が、嫌で嫌でしょうがないの。

慰めてほしい。

だからお願い。

菜摘を責めないで─



「…なんでもないよ。最近イライラしてて、先生と喧嘩してキレちゃっただけ」

そんなこと言えるわけないじゃない。

『最低だ』って軽蔑されるだけ。

大ちゃんだけは、絶対に嫌われたくないよ。

「嘘つけって。俺に隠し事すんなって言ったろ」

じゃあ─

正直に言うから、菜摘の気持ちに応えてくれる？

そんなことできないじゃない。