“またね。”

着いた場所は、やっぱりあの公園。

2人の指定席に座る。

上着を持ってきていないから少し寒い。

「…この公園、あの日以来だね」

「うん。寒いけどねー」

だらしなく座る大ちゃんは、内ポケットから煙草を取り出してくわえた。

「…停学になるよ」

「お前がチクんなきゃ平気じゃん」

大ちゃんらしい返事に少し笑った。

そして、大ちゃんが静かに口を開く。



「菜摘、どした?」

優しく微笑み、菜摘の頭に手を置いた。

「…大ちゃん、なんであそこにいたの?」

質問に質問を返す。

答えたくない時の、菜摘の逃げる方法。

「松ちゃんが1階で授業しててさ。『菜摘が暴れてる』って電話きて。んで見に行ったら、ほんとに暴れてた」

セブンスターの香りに包まれる。

「そうなんだ」

少しの沈黙。

…大ちゃん、怒ってる?

なんだか怖い。

「…なんであんなことしたんだよ。教師殴ったら停学だろ。足も血ぃ出てんじゃん…」

怒るわけでもなく、慰めるわけでもなく

大ちゃんは、優しく問い掛けた。