“またね。”

一瞬にして辺りは静まった。

─『死ね』─

今『死ね』って言われた─?



菜摘は昔から『問題児』と言われ続けてきた。

でも先生とは仲が良くて

だから『先生』に『死ね』なんて言われたことに、かなりの衝撃を受けた。

言った張本人も、今度は顔を真っ青にしている。



教師だって人間。

好き嫌いがあるのは仕方がないこと。

元はと言えば菜摘が悪いんだ。

目を付けられる理由は菜摘にあるんだから。

反抗したのだって、ただの八つ当たりだったんだから。

いくらバカな菜摘でもそんなのわかってる。



だからって、仮にも教育者。

言っていいことと悪いことの区別くらいはつくでしょう?

つけなきゃいけないでしょう?



菜摘の中で、ピンと張っていた糸が

音を立てて切れた。





──ガンッ──





大きな鈍い音を立てて教壇が倒れる。

菜摘が蹴った部分にくっきりと穴が空いた。

菜摘の足にも血が滲む。