“またね。”

授業中。

自分の中での葛藤と、しつこく続くサイトでの中傷。

何をするにも気力が湧かず、机に顔を伏せていた。

「おい、お前！寝るな！だらしない！」

耳に響いたのは先生の怒鳴り声。

この先生は菜摘のことが気に入らないらしく、事あるごとに注意されていた。

「…はあ？『お前』って菜摘のこと言ってんの？」

それもそのはず。

この先生が前に勤めていた高校はいわゆるエリート校。

先生はどうしてこの高校に赴任してきたのかわからないほど生真面目だ。

「お前以外に誰がいる！？」

菜摘のように不真面目な人間は気に入らないだろう。

それはよくわかる。

でもここまで明らかに敵視されるのは、やっぱり腹立たしい。

見た目で判断されるのが１番嫌。

頬杖をつき、先生を睨み付け、なるべく落ち着いた声を出す。

熱くなっちゃダメだ。

今キレたら止まらない気がする。

「他にも寝てる人とか化粧してるとか携帯いじってる人とかいっぱいいんじゃん。なんで毎回菜摘だけなわけ？」

いつもは面倒臭くて流していた。

でも今回は、情緒不安定も重なっていたせいか、我慢も限界だ。