「亮介に聞いてみれば?」

丁寧にアイラインを引きながら理緒が言う。

鏡を返して頬杖をついた。

「聞いたって無駄だもん」

もう何度も聞いた。

でもその度に『俺のこと信用できないの?』なんて、お決まりの台詞を言われるだけ。

問い詰めたって喧嘩になるだけ。

そうなると、『疑ってごめん』としか言いようがなくなる。

「そう言う奴って、大抵浮気してるよね」

やっぱりコーヒー牛乳を飲みながら言う麻衣子は、楽しそうにケラケラと笑う。

「確かにそうだけど、あんたなに楽しんでんの」

「ごめんごめん」



亮介が浮気してるか―

そりゃ気にはなる。

でも問い詰めなかったのは、本当にされてるとしても責められないから。

今はまだ別れたくなかったから。

「付き合うってなんなんだろ」

つい呟いてしまった一言に、3人は口を閉ざした。



『付き合う』ってなに?

いつか抱いていた疑問。

またこう思う日がくるとは思わなかった。

相変わらずため息ばかりだ。