亮介の腕を掴み、人気のない、使われていない教室へ向かう。

教室に入るとドアを力一杯に閉め、亮介を睨み付けた。

大きく息を吸う。

「隆志は友達だっつってんだろ!あーゆうことすんなよ!お前マジふざけんな!」

怒りを抑えきれない。

隆志にまで迷惑をかけたことが許せない。

「俺以外の奴と話してっからだろ!」

机をドカッと座り、雑に足を組む。

亮介が怒るのは隆志に対してだけじゃない。

クラスの男の子と話しているだけで、その日は口も聞いてくれない。

「話して何が悪いのよ?友達なんだから話すの当たり前だろ!」

亮介の目を盗んでコソコソ話すなんて、そんなの絶対に嫌。

どこに怒りをぶつけたらいいのかわからなくて、拳を強く握り締めた。



「もうやめてよ。お願いだから…」



昔、隆志を傷つけた。

だからもう、自分のことで迷惑かけたくないのに…。



菜摘のせいで隆志に迷惑がかかる。

隆志と切るなんて、何があっても絶対に嫌。

そんなのわがままなのかな。



…答えはもう、ひとつしかないのかな。