携帯も静まった頃、窓からグラウンドを覗いた。

放送がかかっていて、閉会式が始まろうとしていて

自分から逃げてきたくせに、なんだか取り残された気分になっちゃって─

教室に1人ってけっこう寂しい。

また半ベソをかきながら、閉会式はサボろうと思った。



だって頑張ったのに。

大ちゃんが『頑張れよ』って

『俺も頑張るから』って─

約束したのに。



教室の隅っこに1人で体育座りなんかしちゃってる自分が、ちょっと惨めだ。







「やあーっと見っけた」







誰もいないはずの校内。

まだ開会式は始まったばかり。

それなのにどうしているの。



ほんと─

やめてほしい。



「お前さ、誰からの電話シカトしてくれちゃってんの?殺すぞ」

久しぶりに聞こえた『殺すぞ』は、なんだかとても優しく聞こえた。