休み時間、いつものように廊下へ出ると、大ちゃんがいた。

植木くんにはよく会うけど、大ちゃんが1階にいるのは珍しい。

だって植木くん、いっつも1階にくるから。

可愛い子を探しに。

「菜摘じゃん」

菜摘に気付いた大ちゃんが友達から離れ、目の前に立つ。

やっぱりこの身長差は好きになれない。

「大ちゃんじゃん。1階くんの珍しいね」

「ここで授業なんだよ」

目の前にある教室を指差す。

「毎週ここくるよ」

…ってことは

毎週金曜日の3時間目は、大ちゃんに会えるんだ─



「そうなんだ」

「んな喜ぶなって」

「別にー」

つい笑顔になっちゃって、喜んでるのバレバレ。

大ちゃんもニッコリ笑って、頭を撫でてくれた。



「じゃあ…」

「お前さ」

チャイムが鳴って、みんな教室へ戻っていく中

大ちゃんは菜摘を引き止めた。



「お前、元気ないね。なんかあった?」