【今何してた?】

「んー。ちょっと嫌なことあった」

【え、何?聞いてあげるから言ってみ】

亮介は“なんでも話せる友達”みたいな感覚になっていて、けっこうなんでも言っている。

─…大ちゃんのこと以外は。



ベッドに寝転がり、メールのことを話した。

【うわーうぜぇ。男でもそーゆうのあるけど…その『タカシ』って奴はそのこと知らないの?】

「知らないと思うよ。知ってたら絶対止めるもん」

【マジか。優しいんだ、タカシは】

隆志より優しい人なんて見たことないもん。

…まあ、気が小さいとも言うんだけど。

【とりあえずさ、タカシに言った方がいんじゃない?悪化する前にさ。自分の女のしつけはちゃんとさせなきゃ】

「うん、明日言ってみるね。ありがと」

【どういたしまして。またなんかあったら言ってな】

亮介だって充分優しいよ。

もう1度『ありがとう』と伝え、電話を切った。



おとなしく隆志から離れてあげよう、なんて思うほど、菜摘はいい子じゃない。

何よりやり方が気にくわない。

汚いことしてないで、菜摘に直接言えばいい。

考えたらまたイライラしちゃって、結局あまり眠れなかった。