会いたい。

声が聞きたい。

前みたいに─

優しい手で

優しい声で

優しい笑顔で

『菜摘』って呼んでほしい。

『またね』って

言ってほしいよ…。



口では強がっていても、心までは隠せない。

体は正直って本当だ。

─…涙が溢れた。



「…本当は好きなくせに。強がんないでよ」

伊織が言いながらテーブルにティッシュを乗せた。

そして菜摘の右手を握る。



「会いたい…」



好きで好きでたまらない。

好きすぎてどうしたらいいのかわからない。

嫌われたって、会えなくたって止まらない。

会いたいよ…。



「…何があったのか、ちゃんと話してよ。あたし、なっつのこと責めたりしないよ。軽蔑したりしないよ?」

…何を考えてたんだろう。

伊織も隆志も、頭から否定したりするわけないのに。

そんなの菜摘が1番よくわかってるはずなのに。

─ゆっくりと、口を開いた。