っ!?





 目の前で彩人くんが女子に抱き締められた。





 驚きで頭が一杯の様子の彩人くん。


 それは私も一緒。










「な…にしてるの…?」


「抱き締めてるんですよ~♪」


「はぁ?」


「だから抱き締めてるんですってば!耳が遠いなぁ~」










 わざとらしくニコッと笑って、見くびるような目でこちらを見ながら偉そうに言ってくる。










「なんでしてるのかって聞いてるの。」


「なんでって、橘センパイが好きだからですよぉ~」










 わかりきってることでしょ、とでも言いたそうな顔をして言ってくる。










 彩人くんは放心状態のまま固まっている。










「とにかく、彼を離して。」


「いやですぅ~!だって好きだもん!」


「いい加減離してください。ボク香水のにおい、臭くて嫌いなんです。」










 やっと今の状況を理解できたのか、彩人くんが口を開いた。