赤い月 終


景時が、さらに獣じみた愛を晒け出そうとしていたことを、薫は知らない。

思いっきり寸止めを食らわせたことを、薫は知らない。


「放せって。
うさぎサマ、ナンカ言おうとしてただろ。」


薫が気の毒な景時にアイアンクローをかけ、無理矢理うさぎから引き剥がす。

『知らない』って残酷デスネ。


「あああぁぁぁ…」


景時の切ない悲鳴が尾を引く中、薫は解放されたうさぎを見下ろした。


「うさぎサマ、さっきなんてったの?」


「あああぁぁぁ…」


「景時に術を授けよう。
もう心配はいらぬ。」


「え?」


「あああぁぁぁ‥‥‥ あ?」


ゾンビのようにうさぎに手を伸ばす景時と、彼の顔をガッツリ掴んだままの薫が、ピタリと動きを止めた。