「月夜の晩…」 再び彼女が静かに呟く。 「桜の公園…」 彼女の視線が田中から外れ、その道の先にある、小さな公園へと向けられる。 「いる、かも……」 田中もつられて公園がある方へと視線を向ける。 「…噂だけど」 小さな呟きが田中の耳に届く。 「…あ、れ?」 再び彼女に視線を戻したとき、彼女はすでにそこにはいなかった。