「すみませ―ん。遅刻しましたあ」 

 突然の声に振り向くと、地味な顔をした私よりも年下ではないかと思われるような若い女の子が、いかにも走ってきました―と言わんばかりの様子で入ってきた。 

「いい加減、遅刻しないようにしたらどうかな。みんなが迷惑するし」 

 社長が呆れ顔でそう言うと、女の子はちっとも反省などしてないように謝った。 

「明日から気を付けま―す」

 ふ―ん。ここってそんなにお気楽なとこなんだね。そう思うと、それまでの緊張感なんて一気に何処かへ飛んでいった。