オオカミ少年。


―ガチャ…


中田があたしをグイグイ引っ張って行って、着いた先は屋上だった。


―キーンコーンカーンコーン…


入ったのと同時ぐらいに、5限目の始まりを告げるチャイムが鳴り響く。


「はぁ…っ…も、疲れた…」

屋上について中田はやっと止まったけど、あたしの腕を掴んでいる手を離さなかった。


「あ、わりぃ…」

ハッとしたようにあたしを見て、勢いよく腕を離した。そのまま後退りする中田。

何だ、こいつ。


「何なのもう。中田最近変だよ、よく怒るしさー。あ、でも助けてくれてありがとう。助かったよ」

「た、たまたま通りかかったんだよ……つーか、俺のせいでごめんな。」


やっぱり今日の中田は変だ。

何でこんなに優しいの?