オオカミ少年。


………やめた。覚えがないことを謝るのもなんか…おかしいでしょ。

それに、中田帰ってこないし。


自分のカバンを持って教室から出ようと、ドアを開けたときだった。


「「あ…」」


目の前にいたのは中田。

手にチョコを持ってるあたし。


………何これ。


「………それ誰にあげんの?」


気まずいなー、なんて思ってたら、中田が少しムスッとして口を開いた。

こいつまだ怒ってんのか?


だいたい、何であたしがこんなに中田のことを気にしなきゃならないの。


「誰でもいいでしょ。」

あたしがそう言うと、中田は更にムスッとして。あたしが持ってたチョコを勢いよく奪った。