オオカミ少年。


「ねぇ、何が入ってたの?」

「見ない方がいいと思う。」

「何で?」

「……何でも。」


あのクラスメートが選んだんだ。…きっとあたしに悪影響を与えるようなものだったんだろうな。

……でも好奇心が勝るんだよね。

人間だから仕方ない。

見るなと言われると、どうしても見たくなってしまう。


「見たいな。」

「……後悔すんなよ?」


少しだけ見えた箱のようなもの。

あれ、何だろ。


「しないよ。」

隣から小さなため息が聞こえてきた。この部屋にはあたしと中田しかいないから、それは当然中田のもの。


―カタッ…


小さな音をたてて机の上に置かれたそれ。

あたしには縁のなかったもの。こんなに間近で見たのも初めてだし、こんなもの買ったことも触ったこともない。


…………ありえない。


「…そんなに引くなよ。」

「…何これ。」