「平山の彼氏って俺じゃないの!?」

「うん、中田だよ。」

「だよな!」

ある意味純粋なのかも。


「帰ろ、中田。」

「おー。あ、平山」

「何?」


アプリを終わらせようとしていたときだった。

「そいつの名前、"ユウ"って言うんだな。」

少し嬉しそうに笑った中田。


あ、忘れてた。


「アプリの彼氏に俺の名前つけるくらいなら、現実で俺のこと名前で呼べよー。」

「た、たまたまだもん!」


設定はすべて友達がやった。もちろん、名前だって。勝手に"ユウ"ってつけられちゃっただけで深い意味は…


「現実に俺いるんだし、それする必要なくね?」

「…まぁ、確かに。」

アプリなんかしなくたって、あたしは現実にいる中田で十分満足してる。二次元の彼氏なんて必要ない。

「やーめた。」

中田の一言で、あたしの二次元の彼氏は1日でその役目を終えた。何だかもったいないような気もするけど。


「早く帰ろうぜ、歩未。」

「あ…、うん!」

あたしには中田がいる。

それだけで十分だね。

【END】