オオカミ少年。


「はっ、バーカ。何か俺すっげぇガキみたいじゃん。看病しに来たんだから、構ってもらえなくてもいいっつーの。」

大人っぽく笑って、額に手を乗せた。

「それに、平山スッピンだし無防備だし。俺的には来てよかったかなーって……いてっ!」


少し感動したのに、すぐにもとの中田に戻ったから思わず手が出てしまった。

スッピンに無防備って、どうなの。


「中田の変態。」

「そりゃあな、男だし?」

開き直るわけね。


「はいはい。…あのさ、ほんとに移るから、もういいよ。薬もちゃんと飲むから。」

ほんとは帰ってほしくないけど、中田が風邪を引くのはもっと嫌。

だから言ったのに。


「平山って嘘下手だよなー。」

何もかも見透かされてるみたいに、中田は優しく笑いながら言った。

そっか。普段嘘をつく中田にとって、あたしの嘘を見破ることなんて全く難しくないことなんだ。