「椿姫だけのために乗り込んできたのか?危険を冒してまで?」
「お前に関係ない。…時にあの男の妻はお前の養女らしいな。腹が大きいとか?」
牙を見せて笑った酒呑童子が、息吹の話題を口にした。
それまでやんわりとした笑みを浮かべていた晴明は、鋭い爪と瞳を尖らせて一歩前進した。
「本来の狙いは私の娘か?ならばそなたの儚き命、私が今この場で奪ってやろう」
「誰の命が儚いだと?奪われるのはお前の命かもしれないぞ」
最後まで言い切らないうちに、酒呑童子が目に見えないほどの速さで刀を抜くと晴明に切りかかる。
一挙手一投足を見逃さなかった晴明は、素早く難解な印を結ぶと気合いと共に息を吐いた。
きいんと硬質的な音がして酒呑童子の刀が弾かれる。
晴明は間近で見た酒呑童子の顔色が限りなく白いのを見ると、同じ症状に見舞われていた男の話題を口にした。
「そなたの体内に毒が回っている。椿姫を食ったがために命が蝕まれているぞ」
「それがどうした?俺に椿姫を返せ。あの男が食うために捕らえているのならば、俺がお前の養女を骨まで貪り食ってやるぞ。子もろともにな!」
もう一度晴明に切りつけた酒呑童子が身を翻して主さまの屋敷の方へと空を駆けて行く。
息吹が狙われるかもしれない――
そう思っただけで身が切られるような思いに苛まれた晴明が酒呑童子を追いかけると、百鬼も後を追った。
「酒呑童子!私の娘に手を出すと末代までそなたを呪うぞ!」
「俺に末代など無い!椿姫と共に――」
ぽつりと呟いた言葉は掻き消えそうなほどに小さかったが、晴明の耳はしっかりとその遺言のような呟きを捉えていた。
酒呑童子は、まさか――
――主さまは猛烈な速さで近付いてくる巨大な殺気に切れ長の瞳を細めた。
晴明の結界が破られて、こちらへ向かって来ているのは酒呑童子。
百鬼たちには酒呑童子が単独で現れた場合はあちら側が攻撃をしてこない限りはこちらから手を出すなと命じてある。
長らく続いた因縁はそろそろ絶ち切らなければ。
「お前たち息吹を取り囲め」
椿姫か自分のいずれを狙って来るならば問題ない。
もし息吹を狙うのならば――
「ひぃ…っ!ぬ、主さま…!」
尋常ではない妖力が主さまを炎のように包み込む。
「お前に関係ない。…時にあの男の妻はお前の養女らしいな。腹が大きいとか?」
牙を見せて笑った酒呑童子が、息吹の話題を口にした。
それまでやんわりとした笑みを浮かべていた晴明は、鋭い爪と瞳を尖らせて一歩前進した。
「本来の狙いは私の娘か?ならばそなたの儚き命、私が今この場で奪ってやろう」
「誰の命が儚いだと?奪われるのはお前の命かもしれないぞ」
最後まで言い切らないうちに、酒呑童子が目に見えないほどの速さで刀を抜くと晴明に切りかかる。
一挙手一投足を見逃さなかった晴明は、素早く難解な印を結ぶと気合いと共に息を吐いた。
きいんと硬質的な音がして酒呑童子の刀が弾かれる。
晴明は間近で見た酒呑童子の顔色が限りなく白いのを見ると、同じ症状に見舞われていた男の話題を口にした。
「そなたの体内に毒が回っている。椿姫を食ったがために命が蝕まれているぞ」
「それがどうした?俺に椿姫を返せ。あの男が食うために捕らえているのならば、俺がお前の養女を骨まで貪り食ってやるぞ。子もろともにな!」
もう一度晴明に切りつけた酒呑童子が身を翻して主さまの屋敷の方へと空を駆けて行く。
息吹が狙われるかもしれない――
そう思っただけで身が切られるような思いに苛まれた晴明が酒呑童子を追いかけると、百鬼も後を追った。
「酒呑童子!私の娘に手を出すと末代までそなたを呪うぞ!」
「俺に末代など無い!椿姫と共に――」
ぽつりと呟いた言葉は掻き消えそうなほどに小さかったが、晴明の耳はしっかりとその遺言のような呟きを捉えていた。
酒呑童子は、まさか――
――主さまは猛烈な速さで近付いてくる巨大な殺気に切れ長の瞳を細めた。
晴明の結界が破られて、こちらへ向かって来ているのは酒呑童子。
百鬼たちには酒呑童子が単独で現れた場合はあちら側が攻撃をしてこない限りはこちらから手を出すなと命じてある。
長らく続いた因縁はそろそろ絶ち切らなければ。
「お前たち息吹を取り囲め」
椿姫か自分のいずれを狙って来るならば問題ない。
もし息吹を狙うのならば――
「ひぃ…っ!ぬ、主さま…!」
尋常ではない妖力が主さまを炎のように包み込む。

