薬師が顔を出すと、主さまはすぐさま客間の中へ入って布団を被って顔を出さない息吹の枕元に座った。
「で…どうだ?結果は?」
いつになく焦って冷静ではいられない主さまは薬師を詰問して戸惑わせる。
息吹は相変わらず布団に潜ったままで、不安になった主さまは自分自身を落ち着かせるために大きく深呼吸をすると、居住まいを正して薬師をまっすぐ見つめる。
「…怖がるな。息吹の容態が心配なだけだ。…どうだったか教えてくれ」
「は、はい」
老人の薬師は、主さまと同じように背筋を伸ばして向かい合うように座ると、深々と頭を下げた。
「おめでとうございます、ご懐妊しておられます」
「…………そう、か…。わかった。もう行っていい」
けた違いの額の金を手渡してこのことを口外しないように約束をすると、薬師はお大事に、と盛り上がっている布団に声をかけて屋敷を後にした。
そして部屋に沈黙が満ちる。
主さまは息吹になんと言葉をかければいいかわからず、ただ身体の内側から盛り上がってくる喜びに全身痺れるような感覚に襲われて動けずにいた。
十数分もの間黙っていると、沈黙に負けた息吹がそっと顔を出して主さまと目が合うとまた布団を被って隠れてしまった。
「……息吹…」
「………赤ちゃん…できちゃった…」
「…ああ。俺と…お前の子だ。息吹…顔を見せてくれ。お前にちゃんと礼が言いたい」
恥ずかしがっているのか、そう言っても顔を出さない息吹に業を煮やした主さまは、息吹を布団です巻き状態にしたまま膝に乗せると、額に額をこつんとぶつけて震える声を振り絞った。
「ありがとう、息吹…」
「ううん…私…すごく嬉しいけどなんか照れくさくて恥ずかしくて…みんな喜んでくれるかなあ?」
「喜ぶとも。だが俺以上に喜んでいる奴は居ない。息吹…息吹……」
うわ言のように何度も息吹の名を呼んで抱きしめても愛情が迸って満足できず、息吹を布団から剥ぐとまだ平らなお腹に手をあてて呼びかけた。
「大切に育てよう。無茶をすると俺が容赦なく怒ることを忘れるな。いいな?」
「うん。主さま、もっとぎゅってして」
息吹が妊娠した――
その一報がもたらされると、百鬼たちは歓喜して朝から祭りのように盛り上がり、祝福の言葉を叫んだ。
「で…どうだ?結果は?」
いつになく焦って冷静ではいられない主さまは薬師を詰問して戸惑わせる。
息吹は相変わらず布団に潜ったままで、不安になった主さまは自分自身を落ち着かせるために大きく深呼吸をすると、居住まいを正して薬師をまっすぐ見つめる。
「…怖がるな。息吹の容態が心配なだけだ。…どうだったか教えてくれ」
「は、はい」
老人の薬師は、主さまと同じように背筋を伸ばして向かい合うように座ると、深々と頭を下げた。
「おめでとうございます、ご懐妊しておられます」
「…………そう、か…。わかった。もう行っていい」
けた違いの額の金を手渡してこのことを口外しないように約束をすると、薬師はお大事に、と盛り上がっている布団に声をかけて屋敷を後にした。
そして部屋に沈黙が満ちる。
主さまは息吹になんと言葉をかければいいかわからず、ただ身体の内側から盛り上がってくる喜びに全身痺れるような感覚に襲われて動けずにいた。
十数分もの間黙っていると、沈黙に負けた息吹がそっと顔を出して主さまと目が合うとまた布団を被って隠れてしまった。
「……息吹…」
「………赤ちゃん…できちゃった…」
「…ああ。俺と…お前の子だ。息吹…顔を見せてくれ。お前にちゃんと礼が言いたい」
恥ずかしがっているのか、そう言っても顔を出さない息吹に業を煮やした主さまは、息吹を布団です巻き状態にしたまま膝に乗せると、額に額をこつんとぶつけて震える声を振り絞った。
「ありがとう、息吹…」
「ううん…私…すごく嬉しいけどなんか照れくさくて恥ずかしくて…みんな喜んでくれるかなあ?」
「喜ぶとも。だが俺以上に喜んでいる奴は居ない。息吹…息吹……」
うわ言のように何度も息吹の名を呼んで抱きしめても愛情が迸って満足できず、息吹を布団から剥ぐとまだ平らなお腹に手をあてて呼びかけた。
「大切に育てよう。無茶をすると俺が容赦なく怒ることを忘れるな。いいな?」
「うん。主さま、もっとぎゅってして」
息吹が妊娠した――
その一報がもたらされると、百鬼たちは歓喜して朝から祭りのように盛り上がり、祝福の言葉を叫んだ。

