始めの一歩。





***



……幸せな時が訪れるなら、嫌な時だって訪れる。


塞翁が馬って言葉もあるし、当然覚悟はしてたつもり。


……だったんだけど。



「……………っ」



時刻は、夜の8時過ぎ。


私は迷城塾へ行くために、駅から少し離れた場所にあるそこへと一人で歩いてた。


それは普通なんだけど。


いつもの事なんだけど。


……いつもと違う事、それは。



「………っ、………っ」


「………………」



ひた、ひた、と。



私の後ろをずっとついてくる男の人がいるってこと。