「うわっつ、すまない!」

「あ、大丈夫大丈夫~」


「ほ、ほんとにか?……よかった、怪我でもしたらどうしようかと思った。

なんせこんなに可愛いのに、それを傷つけるなんて最低な真似、私はしたくないからな」


「……うん、イチカ。とりあえずその天然タラシやめよっか」

「?」



…………。

おい、なんでアンタがここにいんのよ阿呆イチカ。


オーラと鋭い視線だけでそう伝えるマミの先には、教室で待機しているはずの愛され女子。

相変わらずタラしまくっている。


そんなマミの視線(殺気)に気づいたイチカは、ぶつかった女子に再三謝罪をしてからこちらに駆けてきた。



「イーチーカァー?」


「うっ……す、すまない。なにやら気になってしまってな…。それに、マミとコタに何かあっては辛いからな」


「せんぱっ………俺っ、俺もっ、先輩のためならどこまでも駆けつけ…っていうかずっと一緒にいますーっ!」


「だからここでイチャつくなー!」



相変わらず騒ぎまくるこのコンビ。

彼らはこの学校で有名だが、それを制圧するマミも、なかなかに有名だという。


マミさん流石。
お疲れっす。


しかし、『ガタアンッ!』という響く音により、3人だけでなく周りの生徒も固まった。


その原因は、噂の番虎。


なにやら恐い顔をしてイチカたちの方へ歩んでくる。