虚無感が、少年の指を動かした。


金を払わぬまま、十円ガムを手に、コンビニを後にする五歳の少年。

誰も、彼に目をやる者はない。

ただ、手の平に乗ったガムの包み紙上のキャラクターだけが、無邪気に少年へと笑い掛けている。


生まれて初めての外出帰り、少年――私にとっては残酷過ぎる話を聞かされたのだ。