犯罪コレクターの独白

薄桃色の空間が、広がっていた。

――桜だ。

この時はまだ三月だったから、散ることなく咲いていたのだ。

小さな一枚一枚の花びらという、欠片が作り出した空間。

その美しさに、暫く見とれる。


美しい。

空間を表現するには、この言葉しか思い付かなかった。


だが、本来の目的を思い出した私は、名残惜しさと共に足を踏み出した。